天保年間から続く伝統を守る また行きたくなるだるま屋さん 本郷だるま屋の松川だるま

仙台市街地から中山のほうへ車で20分ほどのところにある「本郷だるま屋」。

ここは仙台の総鎮守でもある大崎八幡宮におさめられている松川だるまを作っているところだと聞き、行ってみることにしました。

県道37号線沿いにお店はあります。

 

まず、松川だるまとは天保年間に伊達藩の藩士である松川豊之進が創始したものと言われています。

その創始者である松川氏の弟子として、この本郷だるま屋の初代本郷久三郎が作り始め、現在、10代目のご主人が受け継いでいるとのこと。

 

普通のだるまと違い、松川だるまは全体的に青色です。

この青色は仙台の海や空を表したもので、顔の周りの点々は長寿を表すもの、さらに金粉は伊達政宗公が好んだからだそうです。

また、だるまの目は通常片方だけだったり両方入っていなかったりもしますが、松川だるまは両目とも黒々と入っています。

これはあたりを広く見渡すためのものだそうです。

おなかには恵比寿様もいらっしゃって、さらに側面には寿の文字をあしらった絵も。

側面は赤なのですが、これは普通のだるまと同じく、魔よけの意味があるのだそう。

普通だるまと聞くと真ん丸の形を想像しますが、松川だるまは細長くてスリムですよね、実はこれにも意味があるらしく、仙台藩の初代藩主である伊達政宗公は細身でハンサムだったらしく、それでだるまも細身な感じで、さらに鼻も高いんです。

老舗が続々導入。ホームページ接客ツール「Hospii」

お店の中に入ってみると、おかみさんが気さくに話しかけてくれて、上記のような説明をたくさんしてくれます。

 

さらに旦那さんも作業場に出てきて、一緒におしゃべりしながら、作業を開始します。

「写真撮ってもいいですか?」というお願いにも快くOKしてくれました。

 

お店の中は松川だるまでいっぱいです。

 

だるまの木型も置いてありました。

この真ん中の黒いのはずっと昔から使っているものだそうで、もともとは周りのものと同じ色だったようです。

張り子を作るときに、木型の表面に油を塗るため、ずっと使っているうちにこんな真っ黒い色になったんだとか。

 

この本郷だるま屋は、以前は仙台市街地にあったのですが、2年前にこの地に移転してきたとのことです。

「市街地と比べると交通の便も悪くてね……」と。確かに市街地と比べると、山の上だし、電車の駅も近くにないし。

 

「ここは下と気温が2、3度違うから、前は大体これくらいで乾くな、と肌感覚で覚えていたんだけどね。今は、もう大丈夫だろうと思ってもまだ乾いていないこともあって……、まだ2年じゃわからないよね。前は50年もやってたんだから」と、移転したことでの苦労話も出てきました。

「なんで移転されたんですか?」と聞くと、「やっぱり震災があったからね」と。

「もともと古い建物だったから震災でかなりガタガタになっちゃって。営業を辞めようかとも考えたんだけど、震災以降、だるまも頑張ってるんだから、なんて以前からのお客さんにも言われちゃって。」

「商売をしている人の中には、震災でお店を無くした人もいて、でも商売を続けていかなければいけないからと仙台の中心で、すごく狭いスペースからまた商売を再開した人もいて……、そんな人が、この小さな松川だるまを店先に置いて商売を頑張ってるなんて聞くと、自分たちが作るのをやめるわけにはいかないなって。だから良さそうな古民家を見つけて、この地に引っ越してきたの」と。

 

なんだか本当にドラマがありますね、こんなことをすごく明るく、あっけらかんと話をするおかみさんですが、いろいろな苦労があるんですね。

 

「どこから来たの?」と聞かれたので、「昨年こっちに引っ越してきました、今は大崎八幡宮の近くに住んでいます」と言うと、松川だるまを納めているからなのか、「ああ~、大崎八幡様にはホントお世話になってるからな」とご主人が。

さらにご主人「だったらここじゃなくて大崎八幡様で買えばいいんじゃないか?」なんて笑いながら話してくれました。

 

今回、松川だるまのほかに、仙台張り子のすずめも購入。

仙台張り子 すずめ 1,000円

 

仙台と言えば伊達正宗公、伊達家の家紋は「竹に雀(すずめ)」。

仙台で一番大きなお祭りである青葉まつりでは「すずめ踊り」があったりと、仙台のキーワードの一つでもある すずめの仙台張り子です。

 

この商品、最近雑誌に紹介されたらしく、お問い合わせや注文が殺到しているんだとか。

でも予約などは受け付けていないため、店頭にあったらラッキーなんだそうで、今回伺ったとき、ちょうど出来立てほやほやだったものを購入することが出来ました。

 

ご主人なんかだるまをに色を塗りながら、だるまよりもこのすずめを推していましたからね。

 

あれこれと話しっぱなしで気が付けば小1時間。

初めて伺ったのに、まるで親戚のおじさんの家に行ったかのようなとても楽しい時間を過ごすことが出来ました。

購入してお店を出ると、車を出すまでおかみさんが見送ってくれて、本当に素敵なご主人&おかみさんでした。

 

と、いうことで、我が家にもついに松川だるまが来ました。

松川だるま 1,500円

ちょっと不思議そうな顔で見ています。

 

我が家の神棚(?)大崎八幡様の隣に、松川だるまが鎮座しました。

 

また絶対に行きたい、買わないかもしれないけど話を聞きに行きたいなと思った松川だるまの本郷だるま屋でした。

 

本郷だるま屋 宮城県仙台市青葉区川平4丁目32−12