塩竈の本町通り、大正5年創業の菊良紙店の二軒隣にも100年以上続いている老舗企業があります。
阿部平かまぼこ店です。
この阿部平かまぼこ店、創業は明治27年(1894年)です。
明治27年は日英通商航海条約が結ばれた年。
それまで世界の国々と幕末に結んだ不平等条約を正すべく日本政府が各国と交渉をして、最初に結んだ改正条約がこの日英通商航海条約です。
また日清戦争が始まったのもこの明治27年でした、日清、日露戦争と勝っていき列強の仲間入りをするきっかけにもなったこの年。
幕末と近代日本のはざまのような明治27年に阿部平かまぼこ店は創業しました。
とてもきれいなお店です。
中に入ると女将さんが出てきて対応してくれました。
他の笹かま屋さん同様に、一言で笹かまと言ってもいろいろな種類のものが存在します。
いろいろと見た中で、やっぱりオーソドックスなものを……、あとはおつまみになりそうなものと。
で、今回購入したのがこちら。
普通の笹かまぼこにサラミ笹かまぼこ、わさびチーズ笹かまぼこの3つ。
そして、おまけにこちらを貰ってしまいました。
さつま揚げ。
笹かまぼこはちょっと焼いて、そのまま食べるのが美味なのでグリルで焼いて……
ちょっと焼きすぎてしまいましたが……。
食べてみると、お魚の味がちゃんとして外はパリッと中はふっくらもちもちで本当に美味しい笹かまぼこです。
何もつけなくても味がしっかりしているんですよね。
「アチアチ!」って言いながら食べていました。
サラミ笹かまぼこを食べてみると、なんと中に……。
サラミが丸ごと入っていました。
サラミが細かく切ってあって、それを生地に練り込んで……というものを想像していたのでビックリ!
本当に美味しい笹かまぼこでした、ごちそうさまです。
阿部平かまぼこ店でのお買い物の際、女将さんが「震災の時は泥水がお店の階段のところまで流れてきて大変でした」とおっしゃっていました。
塩竈は太平洋に面している港町なので、震災の際は大変な被害が出た地域でもあります。
でも震災に負けず、暖簾を受け継いでいるなんて素敵ですよね。
「古くからここでご商売をされているんですよね」と聞くと、「4代目が3年前に亡くなって……、今は5代目がやっているんです。」
阿部平かまぼこ店では、代々店主が「平太郎」という名を襲名しているそうですが、「5代目はまだ襲名していないんですよね。」と。
いろいろと事情があるのかどうなのか、ちょっとその先は聞きませんでしたけど、代々暖簾だけではなく名前も受け継いでいるなんて、現代社会では、特にサラリーマンを親に持つ私のような立場だとちょっとかっこいいな、とも思いました。
阿部平かまぼこ店 宮城県塩釜市本町6-5