今回は仙台市街地の西の端、仙台城近くに来ています。
藩政時代は城下町として栄えたこの地域、今ではビルが立ち並ぶ地域でもありますが、そんな一角に100年以上続く老舗がありました。
それがこちら、賣茶翁です。
賣茶翁は明治12年(1879年)創業の老舗和菓子店。
明治12年は、琉球藩が廃止され沖縄県が設置されたいわゆる琉球処分が行われた年。
明治4年に琉球王国から鹿児島県の下に入り翌年明治5年に琉球藩となりましたが、明治12年のこの年に沖縄県が設置され全国に布告されました。
そんな年からやっている賣茶翁。
賣茶翁は「ばいさいおう」と読みます。
元々はここから1kmほど離れた場所で「甘泉堂」という屋号でやっていたそうですが、太平洋戦争時の仙台空襲により昭和22年にこちらの場所に移ってきたそうです。
周りは本当にビルばかりなんですけどね、ここだけすごく落ち着いていて一昔前にタイムスリップしたかのような気分になります。
本当にいい雰囲気。
店内に入るとすぐにショーケースに色とりどりの和菓子が並んでいました。
ショーケースも木枠で出来ていて逆に新鮮ですよね。
ここはそんなに広くはないんですけど、すぐ横にはお茶を飲んだりする喫茶スペースもあるようです。
賣茶翁は遠くからも買いに来るお客さんがいるくらい和菓子では有名なお店だそうです。
そんなお店の看板商品である「みち乃く煎餅」、今回はそのみち乃く煎餅を購入して帰ってきました。
それがこちら。
こういうハンコにも時代の味を感じます。
おお!
包みが高級なんですよね、1枚1枚包まれていて。
ほら、こんなところもすごくおしゃれだし。
細かなところに気配りを感じます。
すごくきれいなお煎餅です。
焼き目の模様がきれいで、お煎餅ですけどすごく繊細な感じ。
一口食べてみると……。
ん?
なんだか想像と違った味。
お煎餅だと思って食べたので、てっきり塩っぽい味なのかと思っていましたが、すごく甘くて美味しい。
パリッとした食感なのかと思っていましたがサックリとした感じ。
味は本当に美味しいんですよ、カラメルの味と言うのかサクッとしてて……あー、なんだろうこの味、すごく食べたことがあるんだけど思い出せない……。
あー、あれだあれ、マカロン!
一言で言うならばマカロンみたいな食感と味。
「みち乃く煎餅」なんて名前からして、こんな柔らかくて優しい甘い味だとは想像していませんでした。
5枚で300円しないんですからね、これはコスパもかなり高いですよ。
で、実は今回伺ったのはハロウィンの時期だったので……。
こちらも購入してきました、箱に包まれた高級そうな和菓子。
蓋を開けてみると……。
何かがこちらを見ています。
かぼちゃの和菓子。
多分季節限定なんでしょうけど、こんな遊び心があるのもいいですよね。
ハロウィンなんて言うとキャンディーとかチョコレートとかを想像しますけど、和菓子のハロウィン。
今の時期、出先でお茶菓子としてこんなかわいい物が出てきたら感激してしまいますよね。
保育園から帰ってきた子どもに見せてみると……
娘が寄ってきました、かぼちゃの和菓子に驚いた様子。
「なにこれ~食べていいの?食べていいの?」とどんどん近寄り……。
ガブっと一口。
中はあんこがぎっしりなのですが、これ外側もあんこなのかな、甘くて美味しい和菓子。
私は一口食べただけで、あとは娘が無言でモグモグと。
でもかぼちゃの顔のところは怖いのか、最後まで食べようとしませんでした。
賣茶翁 宮城県仙台市青葉区春日町3-13