仙台市街地から車で10分ほど、若林区五十人町に来ました。
ここは昔、足軽五十人衆が居住していたため五十人町という名前になりました。
江戸時代からの地名がまだ残っているというのはすごいなぁと思いますけど、仙台はいたるところに江戸時代の地名が残っているので、地名の由来を調べるのも楽しいです。
住宅街になっている五十人町の一角に100年以上の老舗があります。
こちら、かんのやです。
かんのやは明治39年(1906年)創業の老舗のお蕎麦屋さんです。
明治39年はアサヒビール、サッポロビールの前身である大日本麦酒株式会社が誕生した年でもあります。
その後第二次世界大戦後の財閥解体のあおりを受けてアサヒビール、サッポロビールとそれぞれ分割され現在に至ります。
現在のビール会社大手がもともと同じ会社だったというのも驚きますが、自分たちの意に反して分割され、今はライバルとして競争しているというのもなんだかビックリですよね。
アサヒビール、キリンビールの源流である会社の創業と、仙台五十人町のかんのやは同じだということなんですね。
かんのやは住宅街にありますが、やはりお昼時は混んでいましたね。
店内に入ると女将さんが元気よく「いらっしゃーい!」と。
メニューを見て、いろいろ迷いましたが寒い冬はあったかいお蕎麦がいいかなと、で、カレー南蛮で暖まりたいなということで「カレー南蛮そばをください!」と言うと、女将さんが「お肉は豚肉にします?鶏肉にします?」と聞いてきました。
カレー南蛮の具であるお肉の種類を選べるシステムのお店なんて今までなかったのでどっちにしようか一瞬躊躇したんですけど、ここは「じゃあ豚肉でお願いします」と注文。
どっちでもよかったんですけど、自分の中のカレー南蛮は豚肉のイメージだったんですよね。
でも鶏肉のお店も確かにありますよね、これどっちが正解なんだろう……?
お店の中はテーブル席と奥にはお座敷席もあります。
待つこと十分、カレー南蛮そばが来ました。
うまそーう!
付け合わせに野菜の煮物も付いています。
わー、これ絶対うまいヤツだ……、早速いただきます!
うまい!
ダシの利いたカレーつゆがすんげー美味い!
そして……なによりも熱い!
カレー南蛮なので冷めにくいというのはあると思いますけど、それを差し引いても熱い!熱すぎる!
私の座右の銘の一つに「あったかい食べ物は熱ければ熱いほどうまい」というものがあるんですけど、それをまさに再現している感じです。
ハフハフとカレー南蛮そばと格闘すること10分、完食しました。
結構量があったんですけど、美味しいとペロリですよね。
ちなみに調べたんですけど、お蕎麦屋さんのカレー南蛮というのは明治末期からあったんだそうです。
ただ、最初のころは強い香りが蕎麦の雰囲気を乱すと、あまり評判にはなりませんでした。
その後、食文化の変化や家庭で簡単に作れるカレールーの普及により、徐々に評判となり今ではお蕎麦屋さんの定番メニューとなっていきました。
たしかに香りは強いですよね、私もかんのやでカレー南蛮そばを食べているとき、常連さんらしき人が「カレー南蛮にすればよかったな」なんて女将さんに話していましたし。
かんのやでカレー南蛮が100年前からあったのかどうかはわかりませんけど、もし100年前からカレー南蛮がメニューにありタイムスリップができるなら、当時の常連さんに「これ、めっちゃうまくて本当に癖になりますよ」と教えてあげるんだけどなぁ……。
かんのや 宮城県仙台市若林区五十人町16